粉体塗装の数値化で見える品質。小泉塗装工業の先進的なアプローチ
『品質とはお客様が求めているもの。お客様がどこまでの品質を求……
試行錯誤の積み重ねで培った技術と知見で、塗料メーカーも相談に来る焼付塗装会社。自身も40年の職人として技術を磨く2代目、有限会社伸塗工業(しんとこうぎょう)、加藤覚(かとうさとる)さんにお話を伺いました。
―――伸塗工業さんの特徴を教えていただけますか?
金属の焼付塗装の会社になります。
会社は立ち上げてからもう50年ぐらいですね。私が二代目になりますが、私自身も40年ほど職人として働いています。
今は小回りが利くので、小ロットの製品や鋳物のパテ物なども得意としています。
特に最近は、医療器機、看板、配電盤、運動器具など対応することが多いですが、焼ければ何でも対応可能です。
窯(焼付炉)の大きさが2500㎜まで対応できるので、大きなサイズも対応可能ですね。
ただ、重いと持てないので相談してもらえればうれしいですね。
―――医療機器は特に基準が厳しいと伺ったことがあるのですが、そのあたりはいかがですか?白系のワークは難しいとも聞きました。
そうですね。特に医療機器は白系のワークが多いので、焼きムラが出てしまったり、変色(黄変)してしまったりといったことがあるので気を遣いますよね。
医療機器は白系が多いだけでなく、他の製品(例えば配電盤など)に比べて非常に厚いものが多いので、技術と経験が求められると思います。
―――白物を焼付けするのに、何かコツというのはあるのですか?
まずは、白は白色の製品だけで窯に入れて焼くというのは決めていますね。
例えば白と一緒にグレーとか黒といった色の製品を一緒に焼く会社さんもあると思うのですが、私たちは他の色の製品と一緒に焼くことはしません。
あとは窯の温度にはかなり注意を払いますね。
―――医療機器の仕事が増えた背景はあるのですか?
口コミで依頼が来ることが多いですが、きっかけは「他社さんで色ムラが出てしまった」ということでご連絡を頂くことが多いです。
―――技術もさることながら、それらの知見はどのように蓄積されていったのですか?
その時々によって一点ものもありますし、対応する製品は異なるんですよね。だから、技術や知見に関しては「これでいい」ということはないと思うんですね。
だからこそ、新しい製品をお願いされたら、やっぱり常に勉強じゃないですけど、いろいろと自分なりに学んで創意工夫して、お客様が求めている製品にすることが必要だと思っています。
先ほどの医療器機の話ではありませんが、あれも白色を出すのにかなり苦労したんですよね。
例えば塗料メーカーさんに「こういう製品は何度くらいの温度で焼けばいいの?」と聞いても、基準値のようなものは教えてもらえるのですが、それは一般的な製品を基準に出した数値なので、当てはまらないことが多いんですね。
それならば、ということで、お客様から製品のサンプルをもらって、何度も何度もテストを繰り返しながら、試行錯誤して答えを導き出してきました。
今では塗料メーカーさんが逆に聞きに来るほどになりましたね。
―――医療機器のサンプル製品を見させていただいてますが、確かにかなり分厚いですね。
製品が分厚いということは、窯(焼付乾燥炉)の火を消した後も製品は熱を持ったままになるので、余熱で焼けてしまうんですね。
なので、その余熱の部分も計算して焼き時間や温度を調整しないと、焼きムラになってしまったり、黄変してしまったりということが起きるんですね。
そのあたりは本当に試行錯誤になるんです。
このような積み重ねが今につながっていると思うので、これからも声をかけていただいた仕事は、誠心誠意きちっとこなしていきたいと思っています。
【企業情報】
有限会社伸塗工業
二代目加藤覚
東京都足立区鹿浜6-26-9
03-3899-4165